茨城県は多品目の野菜・果物が栽培される日本でも有数の生産県。『なし』についても一大産地として有名です。県内では古くは江戸時代から「なし」の栽培が続く地域がありますが、JA北つくばが位置する筑西市もそのひとつ。長い歴史と栽培技術の積み重ねがあります。
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選果場に着いてまず感じるのがクリーンで明るいこと。昨年完成し、稼働は今シーズンからとのことで納得の綺麗さです。
選果日に伺ったので持ち込まれた梨がありました。ハウス作の『幸水』です。
選果の流れを見せていただきました。
梨の入った重いコンテナでも、このハンドクレーンがあれば軽く持ち上げられます。スグレモノですね。
コンテナから梨を取り出し、レーンにセットします。ここでまず目視により格外品が除かれます。
レーンが流れていく先、画面奥にある機器が「光センサー」です。形状だけでなく内部状態もわかるようになりました。これにより糖度はもちろんのこと、外観からは判別しづらい蜜症※や褐変も検知・除外できるため全体品質の向上に期待がかかります。
※果肉が半透明の水浸状になり食感が損なわれる生理障害
光センサーを通った梨は等階級別に振り分けられ、箱詰めされます。そして再びレーンへ。
箱の蓋も自動封函機で閉じられます。箱には等階級別にバーコードが貼られており、読み取られた後は自動で振り分けられます。
そしてパレットに載せられ、市場へと旅立っていきます。こうした選果・選別のシステムを経ているおかげで市場流通する青果物の品質が保たれているわけですね!
今年度産の意気込みや生育状況について動画メッセージをいただきました!
現状の生育ペースは平年並みとなっており、露地作の「幸水」は7月27日に出荷開始予定です。
部会での作付面積は60ヘクタール弱、その約半分が「幸水」になるそうです。当品種は誕生から80年余(登録から60年余)経っていますが、新品種が次々と出ている現在でも主力として栽培される優秀な品種です。食味が良いこともありますが、「幸水」のように早く出回る品種があまりないのも理由のようです。
部会では他にも「豊水」や「新高」、「あきづき」「にっこり」「甘太」と様々な品種が栽培されていますが、部会長がおすすめしてくれたのが「恵水」です。茨城県のオリジナル品種で大玉かつ糖度が高く、酸味が少ない、シャリ感に優れる、長期の貯蔵が効く、と大きなポテンシャルを持つ茨城自慢の品種。市場でもオシャレなデザインの箱で目を引いていた「なし」ですね。
この日はあいにくの雨。圃場に着く頃には雨脚がかなり強まっていましたが何とか撮影できました。「ハウス幸水」では5kg箱16玉中心でしたが、この雨で露地作では1階級程度、肥大が進みそうです。
近年は温暖化の影響から開花が早まる傾向にあります。そうなると遅霜に遭うこともあり着果不良につながってしまいます。また、本年6月には関東で降雹がありましたが、当地区の被害は極一部程度とのことです。
冬の寒い時期も剪定・棚づくりなど大変な作業があります。生産者の方々の努力が実り、こうして順調に育っているのを見ることができました。
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視察にご協力いただいた「JA北つくば」ならびに生産者の皆様、ありがとうございました。